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MMTのせいで、消費増税を巡る議論が、大混乱に陥っています

国債が未来への贈り物? 「将来世代へのツケ」ちゃうんかい!

■もう何が何だか分からなくなってきました。

 

 財務省がわざわざツイッターのつぶやきを拾ってきたオリヴィエ・ブランシャール(元IMFチーフエコノミスト)も、2012年の段階で、すでにこんな意見を述べていました。

「「日本は多くの問題に直面している」と述べ、「外需の弱さ、デフレ、財政再建という3つの課題」を挙げた。財政再建については、「そのスピードが重要。財政再建による(マイナスの)乗数効果は、通常より強まっている。流動性の罠に陥っている先進国もあり、金融政策の効果が通常より期待できないため」と指摘、財政再建をあまり急ぐと世界経済にとって好ましくないとの認識を示した。こうした認識のもとで、日本についても、すでにゼロ金利状態が続き、金融政策の効果が薄いことや、低金利による利払い負担は小さいことなどから、急激な財政再建はかえって好ましくないとの考えを示した。」(2012年10月9日 ロイター)

 親切なブランシャールは、今月、「日本の財政政策の選択肢」というレポートを公表してくれました。その中でブランシャールは、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の赤字を拡大しろとか、財政支出を増やせとか、日銀の量的緩和政策は非生産的だとか、超低金利はかえって需要を縮小するぞとか、日本政府の経済政策を、とっても丁寧に全否定してくれました。

https://piie.com/system/files/documents/pb19-7japanese.pdf

 さらに、ブランシャールは、この「プライマリーバランスの赤字を拡大しろ」という提言を、わざわざツイッターでも、つぶやいてくれています。しかも、日本語です。本当に親切な方ですね。

https://mobile.twitter.com/ojblanchard1/status/1131567453610422272

 このように、財務省がMMT批判者として引っ張り出してきたラガルド、シラー、サマーズ、クルーグマン、ターナー、ブランシャールは、いずれも、デフレ下での積極的な財政出動に賛同しています。

 とりわけ、サマーズ、クルーグマン、ターナー、ブランシャールは、日本を名指しして、財政赤字を拡大すべきだとか、消費増税はやめるべきだとか、はっきり言い切っているのです。どうも、この財務省が引っ張り出してきた6人の権威たちは、MMTよりもむしろ「財務省に気をつけろ!」という警戒警報を鳴らしているようにしか思えないのですが・・・・

財務省は、いったい何をしたかったのでしょうか?
間違えて、ブーメランを投げてしまったのでしょうか?
なんだか、よく分からなくなってきました。

 よく分からないと言えば、この財務省作成のYoutubeの動画も、実に不可解です。というのも、この動画のナレーションは、最後にこう語りかけているのです。

「それは、未来への贈り物。個人向け国債」

https://www.youtube.com/watch?v=TsYTFhQAqaA

国債が未来への贈り物?
「将来世代へのツケ」ちゃうんかい!
 

 もう何が何だか分からなくなってきました。
 こんな混乱した状態のまま、消費増税をやって、本当に大丈夫なのでしょうか。

 というわけで、無性に不安になってしまった方は、ぜひ『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』で、目からウロコをすっきり落としてください。そうすれば、何が正しいのか、誰が正しいのか、すぐ分かるようになると思います。

 とってもわかりやすい本ですよ。

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日本のMMT[現代貨幣理論]ブーム仕掛け人・中野 剛志の簡単解説。
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中野 剛志

なかの たけし

1971年、神奈川県生まれ。評論家。元京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治思想。96年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。01年に同大学院にて優等修士号、05年に博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『日本の没落』(幻冬舎新書)、『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】』(KKベストセラーズ)。  

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  • 剛志, 中野
  • 2019.04.22